コラム

『うさぎがきいたおと 』上島明子

2021/11/4

沙羅さんの木版画が美しい作品です。

おはなしは、昔私が書いたものでした。
一番最初に物語の大元を書いたのは美篶堂に入社したばかりの頃です。

美篶堂の経営を本格的に動かすこととなり、頭の片隅にしまいながら、目前の仕事を動かしていました。

そして10年寝かせた頃、経済はチャレンジして好転するのかと思いきや、やっぱり厳しかったりの繰り返しでした。なれない左脳をぐるぐる動かしておりました。

小村雪岱の展示を見に行き、美しい本をつくる仕事に、感動し、こうした仕事が社会からなくなっては困るなあと、しみじみ涙がでました。
すると、右脳が突如動きはじめました。

頭の中にいたうさぎが再び動き出しました。この物語を美篶堂で自費出版し、美篶堂でコラボしてもらっている沙羅さんに絵を描いてもらえないか相談しました。

お話はほぼできていたものの、最後の詰めに編集の相談を賀内麻結子さんに頼みました。デザインは沙羅さんの同級生で今はドイツに在住の川上恵莉子さんが引き受けてくださいました。

沙羅さんの木版画は、私よりもずっと、耳をすまして、このおはなしを再現してくださり、本当に素晴らしいものとなりました。

当初500冊作り、東京は当時あった美篶堂ギャラリー、大阪はcaloさん、京都は恵文社一乗寺店で原画展をして、一年で完売しました。
(その原画展に石井ゆかりさんが観にきてくださり、その後の沙羅さんとのお仕事が何冊も本のかたちにまとまりました。)

それからさらに時がたち、

製本所の仕事が途切れそうであったため、うさぎの復刊を考えました。すると、かねてより相談に乗ってくださいました、ひとり出版社をはじめた宮後優子さんが普及版を宮後さんのレーベルbook&designから紙ジャケットバージョンで出して、販売してくださることとなりました。
デザインは、沙羅さんの後輩で、美篶堂の書籍を デザインを担当してくださっている、eaの守屋さんがデザインをしてくださいました。

印刷は山田写真製版所にお願いして、沙羅さんの木版画のかがやきを再現してくださいました。
布表紙美篶堂特装本は直接販売していて、流通できていないのですが、
時々本屋さんが連絡くださり、お取り扱いくださるお店があり、ありがたいです。

沙羅さんの美しい木版画の絵本は、
是非、眠るまえに枕の近くに置いて頁をめくってみてください。 美篶堂がお役に立てること、もっともっと考え、動きます。


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