コラム

本の背の構造について 上島真一

2020/07/23

今回は本の背の構造について説明します。

本の背には「タイトバック」、「ホローバック」、「フレキシブルバック」という3種類の構造があります。

「タイトバック」という構造は、本の開きを少し犠牲にして強度を出すことを重視した作り方です。

この構造は、本文の背と表紙の背の内側が完全に接着されているので、本はのどの部分の紙のしなり以上には開かず、これによって強度が生まれます。一般に書店などでよく目にするのは、タイトバックの本が多いかと思います。

「ホローバック」という構造は、開きやすさを重視した作り方です。

本文の背と表紙の背の内側を接着しないため本文が固定されず、のどの部分の紙のしなり以上に本が開きます。

丸背の場合、すでにのどの部分に強度が出る構造であるためタイトバックにする必要がなく、
基本的にほとんどがホローバックで作られます。

「フレキシブルバック」という構造は、タイトバックと同じように本文の背と表紙の背の内側を接着して作りますが、表紙の背に柔軟な素材を使うため、本の開きに合わせて一緒に曲がります。しかし表紙の背が痛みやすい欠点もあります。

製本をするにあたりこれらの構造は、本の厚さや材料、どのような目的で使用するかなど、その他さまざまな理由でどれを用いたらいいか変わってきます。

私たちが製本のご相談を受ける場合、どんなものを作りたいのか詳しくお聞きしながら、どのような構造が適しているかご提案させていただいています。

上島真一さんのYouTubeより

編集 鯨岡